失業手当(基本手当)はいくら貰える? 失業手当で当面の生活は可能? ~年収1,000万以上の退職者の場合~                                              

退職時関連手続き

今回は失業した時に貰える失業手当(基本手当)について、年収1,000万円を超える場合はいくら貰えるのか解説していきます。

model by 茜さや

初めに

近年転職支援と称して早期退職の募集が盛んに行われています。富士通やJT等記憶に新しいところですが、大企業では珍しいことではなく日常的に行われています。

私が以前勤めていた会社でも毎年の様に数百人規模の早期退職優遇制度が行われていました。早期退職優遇制度とは割増退職金を支払う代わりに希望者を募り定年前に退職してもらう制度です。

この制度は管理職を対象にするケースが多いようですが、一般社員を対象とするケースもあるようです。今後益々会社員は何らかの形で早期退職にかかわっていくことでしょう。

会社にしがみつこうと考えている方へ

希望退職とは名ばかりで、何週も続けて人事担当者との面談が行われる会社もあると聞きます。会社側もストレートに退職勧告はしないものの、面談を重ねるごとに面談を受けた方は追い詰められ退職の決意を固めていくようです。

私は幸いにそのような何週もの面談はなかったのですが、管理職だった為に常に希望退職の面談自体はあり、「明日は我が身」との気持ちを常に持っていました。ですので、あなたが会社員であれば、願わずとも早期退職を行わざるおえない状況になる可能性は十分あります。今は退職が現実的ではないとしても、情報として知っておいて損はないと思います。

このブログでは社会保険労務士と1級FPの資格を持つ管理人が実体験を元に早期退職を考えている、特に大企業の方を対象に早期退職に関する情報を発信していきます。2022年限定での企画です。

年収1,000万円の失業手当の金額は?

さて、いざ退職が迫ると気になるのが生活費です。特に失業手当(正式には基本手当と呼びます。)はいったいいくら貰えるのか気になる方が多いようです。

結論を言うと期待するほど多くはありません。

しかも高収入の方は失業手当(基本手当)はほとんど生活費に使うことは出来ないでしょう。

まず失業手当(基本手当)が支給される要件。続いて期待するほど多くない理由、そしてほとんどが生活費以外で無くなっていく理由を紹介します。

失業手当(基本手当)の支給要件・支給金額・支給日数は

まずは失業手当が支給される要件をみてみます。

失業手当(基本手当)が支給される要件

・雇用保険の被保険者期間が離職の日以前2年間に通算して12カ月以上あること

(特定受給資格者・特定理由資格者は雇用保険の被保険者期間が離職の日以前1年間に通算して6ケ月以上あること)

・失業の状態にあること(働く意思及び能力があり求職活動を行っているが仕事に就けない状態)

支給される金額

失業一日あたりの金額は以下の通りです。日数には祝祭日も含みます。

支給額(基本手当日額):賃金日額 × 一定率(50~80%) 

※賃金日額:退職前6か月間の賃金総額(賞与等を除く)÷180

支給される日数

自己都合か解雇等による離職なのか、離職時の年齢や雇用保険加入期間によって異なります。

会社都合で退職した方はこちらの表になります。今回は会社の早期退職プログラム応募による退職者について解説していますので会社都合による退職として考えていきます。

特定受給資格者及び一部の特定理由資格者

ハローワークインターネットサービス・基本手当の所定給付日数より

支給日数について詳しくはこちらで確認下さい。

ハローワークインターネットサービス - 基本手当の所定給付日数

私の場合は年齢が45歳以上60歳未満、雇用保険20年以上の加入期間がありましたので330日分でした。一見何とか生活出来そうだと思いますよね。

支給率が50%としても年収1,000万オーバーなら賞与を除いても失業手当400万くらいは貰えるのではと思ってしまいます

※コーヒーブレイク豆知識※

失業してハローワークに行くと「雇用保険受給資格者票」という紙を貰います。そこには離職理由の記載があり数字が書いてあります。これはどんな理由によって離職したかを示す数字です。

特定受給資格者(倒産やリストラ等事業主都合による離職)は離職理由欄:11、12、21、22、31、32いずれかの番号。特定理由離職者は離職理由欄:23、33、34のいずれかの番号となります。

私の場合は離職理由31「事業主からの働きかけによる正当な理由のある自己都合退職」となりました。皆さんも雇用保険受給資格者票が交付されるときに確認してみてください。

離職理由の番号に関してはこちらのサイトを参考にされてください。

https://www.hwiroha.com/qa/qa008.html ハローワーク情報サイト~ハロワのいろは~より

実際いくら貰えるのか?

結論ですがそんなに世の中甘くはないです。一日8,000円程度。思ったより少ない金額になるでしょう。理由は金額に上限があるからです。年収が高いほど失業手当(基本手当)が高いわけではありません。

失業手当(基本手当)の金額がシュミレーション出来るサイトがありますので確認してみてください。

https://www.hwiroha.com/sitsugyou_kyuufu_keisan.html ハローワーク情報サイト~ハロワのいろは~

失業手当には上限金額がある

離職時の年齢が45歳~59歳ですと2021年8月からの上限金額は8,265円です。以前の年収が2,000万だろうが1億であろうが上限は約8,000円/日です。(なお、この額は通常、毎年8月1日に変更されます。)

土日祝日も支給されるとはいえ日給1万円にも満たない金額です。上限金額はこちらからも確認できます。

https://roumu.com/pdf/2021073011.pdf

この金額をどう感じますか?

ちなみに私が貰った基本手当は28日分(一回の支給額は最大7日×4週で計算します)で231,420円でした。私はこれなら何とか生活出来るかなと考えました。でもそれも甘い考えでした。

失業手当を生活費として考える前に

なぜ甘い考えだったのか。社会保険料を支払う必要があるからです。

この金額が生活費に使えるわけではないです。当然ですがここから健康保険料や国民年金税等の社会保険料を支払う事になります。20歳から60歳の扶養者がいれば国民年金保険料をその人数分、健康保険料全額自己負担する事になります。

私の場合2021年度の国民年金保険税は1人16,610円/月で妻と二人分で33,220円。任意継続健康保険料約64,000円で10万円近くが毎月消えていきました。

社会保険料は前年の年収に比例し徴収されますので、手取りは毎月13万くらいと覚悟しておきましょう。

おまけに住民税が追い打ちをかけてきます。

私は7月退社でしたので、会社を退職したら本年分は全部払え!と住民税の納付書が送られてきました。住民税は後払いですので、昨年の年収分の約半年分の住民税を支払う必要がありました。所得の約10%が住民税と計算すると約半年分で50万近い支払いとなります。(なお、退職金をもらって合計所得が2,400万を超えたら基礎控除も無くなってしまいますので翌年も覚悟しておいてください。)

結論ですが、失業手当は最大で23万/月程度。その金額はほぼ税金等の支払いで消えるぐらいに考えておくべきです。

如何でしたでしょうか。

毎月23万貰えるなら何とか生活は出来るかもと考えてしまいます。が社会保険料も考慮に入れておきましょう。

収入が多いとあまり社会保険料や税金等気にしてないのではないでしょうか。そんな方は今すぐ給与明細を確認して社会保険料や税金を確認しておきましょう。そして半分会社が払っている社会保険料を退職後は全額払うと思ってじっくり家計を見直してみましょう。

年収が高かった方には、公的な給付額は金額に上限がありストップがかかりますが、税金や社会保険料は年収に応じて容赦なく襲い掛かってきます。

繰り返しますが、失業手当(基本手当)で貰える金額は23万程度。そのほとんどは税金の支払いで消える。それくらいの覚悟をもってしっかり貯蓄をしておくべきです。失業手当だけで当面の生活費を賄うのは無理があります。失業手当(基本手当)をあてにしてはいけません。

早期退職の選択は慎重に行いましょう。

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